第十章 中央と地方の権限 第一〇七条 次の事項は、中央が立法し、且つ執行する。 一 外交 二 国防と国防軍事 三 国籍法及び刑事、民事、商事の法律 四 司法制度 五 航空、国道、国有鉄道、航海、郵便及び電信行政 六 中央財政と国税 七 国税と省、県税の区分 八 国営の経済事業 九 幣制及び国家銀行 十 度量衡 十一 国際貿易政策 十二 渉外の財政経済事項 十三 その他この憲法で定めた中央に関する事項 第一〇八条 次の事項は、中央が立法且つ執行し、又はその執行を省県に委ねる。 一 省県自治通則 二 行政区画 三 森林、工鉱及び商業 四 教育制度 五 銀行及び取引所制度 六 船舶業及び海洋漁業 七 公用事業 八 合作事業 九 二省以上に渉る水陸交通運輸 十 二省以上に渉る水利、河川及び農牧事業 十一 中央及び地方官吏の選考昇任、任用、糾弾及び保障 十二 土地法 十三 労働法及びその他の社会立法 十四 公用のための土地収用 十五 全国人口調査及び統計 十六 移民及び開墾拓殖 十七 警察制度 十八 公共衛生 十九 救助、慰謝及び失業救済 二十 文化的古書、古物及び古蹟の保存 A前項各号について、省は、国家の法律に抵触しない限り、単行法規を制定することができる。 第一〇九条 次の事項は、省が立法且つ執行し、又はその執行を県に委ねる。 一 省の教育、衛生、実業及び交通 二 省の財産の経営及び処分 三 省の市政 四 省の公営事業 五 省の合作事業 六 省の農林、水利、漁業牧畜及び工事 七 省の財政及び税金 八 省の公債 九 省立銀行 十 省の警察行政の実施 十一 省の慈善及び公益事項 十二 その他国家法によって付与された事項 A前項各号について、二省以上に渉る場合は、法律に別段の規定が あるときを除いて、関係各省が共同で処理することができる。 B各省において第一項各号の事務を処理する場合に経費が 不足するときは、立法院の議決を経て国庫が補助する。 第一一〇条 次の事項は、県が立法し、且つ執行する。 一 県の教育、衛生、実業及び交通 二 県の財産の経営及び処分 三 県の公営事業 四 県の合作事業 五 県の農林、水利、漁牧及び工事 六 県の財政及び県税 七 県の公債 八 県立銀行 九 県の警衛の実施 十 県の慈善及び公益事項 十一 その他国家の法律及び省の自治法により付与された事項 A前項各号について二県以上に渉る場合は、法律に別段の規定が あるときを除いて、関係各県が共同で処理することができる。 第一一一条 第百七条、第百八条、第百九条及び第百十条に列挙した事項を除いて、 列挙されていない事項が発生した場合は、その事務が全国共通の性質を有するときは 中央に、全省共通の性質を有するときは省に、一県限りの性質を有するときは県に、 それぞれ属する。紛議が生じたときは、立法院が解決する。 第十一章 地方制度 第一節 省 第一一二条 省は、省民代表大会を召集し、省県自治通則により省自治法を制定することができる。 但し憲法に抵触することはできない。 A省民代表大会の組織及び選挙は、法律で定める。 第一一三条 省自治法は、次の各号を含まなければならない。 一 省に省議会を設ける。省議会議員は、省民が選挙する。 二 省に省政府を設け、省長一人を置く。省長は、省民が選挙する。 三 省と県の関係。 A省に属する立法権は、省議会が行使する。 第一一四条 省自治法は、制定後直ちに司法院に送付しなければならない。 司法院が憲法違反の個所があると認めたときは、違憲の条文の無効を宣布しなければならない。 第一一五条 省自治法施行中にいずれかの条文のために重大な障害が発生したときは、 司法院は、関係者を召集し、意見陳述の後、行政院院長、立法院院長、 司法院院長、考試院院長及び監察院院長で委員会を組織し、 司法院院長を主席とし、対策案を提出して解決する。 第一一六条 省の法規は、国家法律に抵触するときは、無効とする。 第一一七条 省の法規が国家法律に抵触するか否かについて疑義が発生したときは、司法院が解釈する。 第一一八条 直轄市の自治は、法律で定める。 第一一九条 蒙古各盟旗の地方自治制度は、法律で定める。 第一二〇条 西蔵の自治制度は、保障しなければならない。 第二節 県 第一二一条 県は、県の自治を実行する。 第一二二条 県は、県民代表大会を召集し、省県自治通則によって県自治法を制定する ことができる。但し憲法及び省自治法に抵触できない。 第一二三条 県民は、県の自治事項に関し、法律により創制、複決の権利を行使し 、県長及びその他の県自治公務員に対して法律により選挙、罷免の権利を行使する。 第一二四条 県に県議会を設ける。県議会議員は、県民が選挙する。 A県に属する立法権は、県議会が行使する。 第一二五条 国家の法律又は省の法規に抵触する県の単行規則は無効とする。 第一二六条 県に県政府を設け、県長一人を置く。県長は、県民が選挙する。 第一二七条 県長は、県の自治を処理し、且つ中央及び省の委任事項を執行する。 第一二八条 市は、県に関する規定を準用する。 |