私の描く巫女さんの特に巫女装束・設定についてよくある質問に一問一答形式で答えます。
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巫女に関して疑問を感じられた場合は一読くださいますよう御願い申し上げます
【問1】巫女さんの緋袴はスカート状の行灯袴は明治時代に生まれたものでズボン型が由緒あるスタイルです。巫女好きにとって行灯袴は邪道じゃないのですか?
【答1】いいえ、そうとは思いません。
確かに行灯袴は神社の巫女さんを見ても助勤の巫女さんが行灯袴を着用していることが多く、本職の巫女さんの多くは差袴などの『襠(まち)のある袴』を着用していることが多いように感じます。しかし、行灯袴は近代的なスタイルなので古式ゆかしさがなく、歴史・伝統・文化の破壊として巫女さんの袴として相応しくないと決め付けていいのでしょうか?
私の考えとしてはそうは思いません。確かに歴史的に見ると襠のある袴が伝統的なものであり由緒正しいとも言えるかもしれません。しかし文化はその時代の体系に合わせて日々変化していくものです。また神道は自らの伝統は守りながらも、仏教や儒教などから影響を受けて調和を図りながら推移してきています。いわば『調和し、受け入れる』というのが日本の歴史であり、伝統であり、文化でもあるのです。よって行灯袴が明治時代に海外の文化を取り入れ受け入れて生み出されたとしても、日本文化の一つには違いは無く、その日本文化に則った衣装を巫女さんが纏うことは間違いでは無いと思います。
もし行灯袴を神道が伝統の破壊と判断したのであれば装束の規定で制限されるはずです。勿論現代においてそのような規定は存在しません。むしろ歴史の一時点のものを安易に抜き取り他を否定し、画一化することの方が日本の歴史・伝統・文化の破壊に繋がるのではないでしょうか。
硬いことを書きましたが、そもそも神社巡りをするのが趣味の私にとって巫女さんの装束の違いを見つけるのは一種の楽しみでもあります。時代とともに変遷する巫女装束の個性もそれぞれ楽しめる要素であり、もし画一化され、色も同じ色、形状も全て同じでしたら神社を巡る楽しさを一つ減らしてしまうと思います。
よって絵においても人それぞれの袴の種類、色があっても良いのではないかと思います。
ですから私は行灯袴の方が私の描く娘(特に10〜12歳程度の子供ですしね…)においては多くの人を引きつける巫女装束の魅力(チラリズム)を表現しやすいと考えているので襠のある袴では無く、行灯袴で描いています。このようにご理解をいただければ幸いです。
【Q1回答追記】『たちゃな様』が運営されいる『巫女装束研究所』にて、歴史的な面からも、襠有り・無しの歴史はどちらも平安時代まで遡れ、襠無しは一概に近代の物とは言えないそうです。[Link]
【問2】襟が緋色ですが、普通は襦袢の襟が見えているだけなので白だと思います。緋色の襦袢を着ているのでしょうか?
【答2】いいえ、襦袢は勿論白です。掛襟をつけているだけです。
神社関係の襦袢はほぼ確実に白です。
穢れを忌み、常に清浄を重んじる神道において、下着である襦袢が白無垢でないことは基本的にありえません。 それを表すように襟以外の襦袢が見えている箇所(袖・身八つ口など)では白色の襦袢が描かれているはずです。
襟のみ緋色になっている理由として、神社によって巫女さんは赤の掛襟(襦袢の上に装飾的な役割で重ねてかける襟)を付けていることがあるからです。それにより『襦袢の白』→『掛襟の赤』→『白衣の白』のように襟が重なっていることがあります。
よって掛襟を描くのであれば、本来は白赤白の順に描く必要があるのですが、これだけ襟を沢山描くと首元がごちゃごちゃし、無理に白衣をだらしなく着ている感じがするので色を絞って『掛襟の赤』→『白衣の白』の2つのみで襟を描いています。つまり襟元の襦袢は掛襟に隠れていると考えてください。
【問3】白衣の袂が長すぎませんか? また草履の鼻緒の色は白では無いのでしょうか?
【答3】確かに一般的な巫女装束の白衣としては長いです。草履の鼻緒の色は緋色と白色の2種類あります。
神社における巫女さんは普段は神職の補助が主な役割ですから、掃除などの邪魔にもなるのでもう少し袂は短いです。
これは単純に私の趣味です。長めの袂の白衣の方が好きなので少し長めの白衣を着ていると思ってください。様々な形状があるからおもしろいという緋袴の件(問1)と同様の理由とさせていただきます。
草履についてもほとんどの神社の巫女さんの草履の鼻緒は白色ですが稀に緋色の場合があります。この回答も同様の理由です。
【問4】(下着を)履いていませんか?
【答4】勿論履いています。
ある種のゲームでは 「和服は下着を着けない」 という文書があったりしますが、全くの間違いです。言うなれば西洋の下着を着けないというのが正しいかもしれません。
和服を着る上で、西洋の下着は線が出てしまい目立つ可能性があるなどの理由で着けない場合はあり、その時には和服の下着を着けています。
上に着る衣の汚れを防ぎ保温の役目もする襦袢、長襦袢の汚れを防ぐために腰から膝下までを覆う肌着の腰巻(裾よけ)などがあります。特に襦袢(下着)について種類が多いので詳しく明記します。
下着には肌に密着する肌着、上着の下にきる合着、その他胴着などがあります。小袖が発達した頃の和服の下着は対丈(おはしょりをしないで着れ、着物と同じ踝までの丈)白無垢(染めていない白い反物)でした。つまり小袖を重ね着して、下に着るものを下着にしていたにすぎなかったのです。しかし16世紀頃、襦袢が南蛮人よりもたらされ肌着として普及します。初期の頃の襦袢は袖が無く丈は腰までが普通でした。日本化するに従って袖がつき、腰までの丈の半襦袢、対丈の長襦袢、その他華美なものが作られました。そして現在は肌着である『肌襦袢として筒袖襦袢』(袂のない筒状の袖の襦袢)、肌襦袢の上から着る半襦袢、長襦袢が用いられているのです。
和装の着る順をまとめると
肌着:筒袖襦袢(上)・腰巻(下)・足袋(足)
下着:長襦袢(上〜下)または半襦袢(上)
上衣:白衣(上〜下)・袴(下)
という形です。 よって袴の下が肌というのはありえません。勿論肌着として腰巻のみを着けていることは少なく、和装ショーツなどを着けている場合がほとんどだと思います。
ちなみに私の描く巫女さんはショーツの上に腰巻・肌襦袢・長襦袢・白衣・緋袴を着ています。
【問5】巫女さんは退魔なんてしませんよ?
【答5】熟知した上でのただの私の趣味です!
そもそも巫女というものは神に仕えて神事行い、神意をうかがって神託を告げるシャマニズム的な役割を担う者です。
巫女は大きく神社巫女(神和系神子)と民間巫女に分類できます。
【民間巫女について】 説明の目的とほとんど関係無いから無視してOK(ぇ
民間巫女はさらに修行型であるイタコ(イダッコなど)と偶発型のカミサマ(ゴミソなど)に分類できます。イタコは失明により経済的・社会的な要因から修行を行い、後天的に成巫(神の嫁になるという形)します。カミサマは先天的に霊感があり、偶発的な神の気まぐれにより選定され、一旦選ばれると拒否は許されず(拒否は病になり時には命を脅かすこともある)巫道に入ることになるのです。これらは隔絶して近づくことができない神、人の言葉を巫女の口を介して聞くことを生業とする者のであり、こちらの民間巫女の方が近代も現存する巫女の定義であるシャマニズム的な役割を担う存在といえるのです。
【神社巫女について】
それに対して神社巫女とは、神社に属し、例祭には神幸の行列に加わり神前に鈴を振って歌舞を奏し、また湯立の神事などに関与する巫女です。つまりこのページを見ているあなたがよく知っている白衣・緋袴の巫女さんは神社巫女の方です(以下に表記する巫女は全て神社巫女です)。
巫女は神職と異なり、階位(資格)を所得する必要もありませんし、神社が募集していれば本職巫女としてお勤めすることが可能です。よって巫女は基本的には祝詞などを奏上することは無く、お祓いも行わず、あくまでも神職の補佐です。また女性の神職は勿論いらっしゃいますが巫女ではありません。装束も違いますし、女性の神職は勿論階位(資格)を所得する必要があるので役割も全く巫女とは異なります。巫女から神職になるという経緯もほとんど例は無いそうです。
よって巫女は祝詞なども奏上せず、勿論退魔は以ての外ということは熟知しております。 結果私の描く巫女さんに武器や退魔などが書いてあるのはただの私の趣味です!
【問6】巫女服は巫女好きにとって批判すべき対象なのでしょうか?
【答6】いいえ、必ずしもそうとはいえないと思います。
巫女装束にアレンジが施された巫女服は巫女装束とは異なるものとして扱うのが私の考えです。あくまで巫女服を全面的に否定しているわけではありません。例えば世界観が私たちの日本と異なる世界という設定で描かれたキャラクターが巫女のような存在として巫女服を着ていたとしても、その世界ではその巫女服が正式な装束となっており、逆に巫女装束が間違いという解釈もできるわけです。
私が巫女装束と巫女服を区別したいのは巫女服=巫女装束であると認識している絵師様が多いということからです。(事実ゲーム業界においても巫女装束の知識を持って、気にして描いている絵師様は極稀のことです)
正しい巫女装束を知った上で巫女服を選択されるのであれば全く問題ありませんし、そちらの方が万人に評価されることもあると思います。
つまり私にとって正しい巫女装束を描くことは評価の対象ですが、巫女服を描くことは批判の対象にはならないということです。事実、巫女装束を熟知した上で巫女服を描いている巫女絵師の天夢森流彩さんは私の大好きな絵師の一人であり、尊敬する絵師様でもあります。
ですから「巫女装束を描いている」、「巫女服を描いている」ということを知った上で各々の巫女を描き、巫女・巫女装束の素晴らしさを広めていくのが理想と考えています。
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