久遠の絆外伝 〜慶長編〜


   あとかき

 拙い作品にも関わらず、最後までお読みいただき、ありがとうございました。
 なにぶん、サイドストーリーというもの、いや、小説というスタイルで文章を書いたこと自体が初めてでして、お粗末な文であることは、平にご容赦下さい。自分の国語力のいい加減さに打ちのめされました。
 すでにお判りと思いますが、このお話の目的は、ある疑問に対する私なりの回答を提示することにあります。「久遠の絆」元禄編において、神剣・天叢雲剣は何故あんなところに在ったのか、という疑問です。
 私にとって、魂のゲームと言っていい「久遠の絆」の中で、あれは最も納得のいかない場面でした。ろくな伏線もなく、登場の仕方が都合良すぎました。平安編で京にあった剣が、江戸へ運ばれた経緯も全く説明されませんでした。
 本作では、鷹久から晴明の手を経て土御門家に伝わった神剣が、子孫の手によって江戸へ運ばれる。基本的な構想は、ここから始まりました。
 また、「久遠の絆」おまけシナリオ「謎の小箱」に登場した「風魔三十六人衆が一人・土蜘蛛の‥‥」というキャラは、絶対に出そうと決めていました。それも、ばりばりのシリアス、ホンマもんのくノ一として。
 はじめはもっと短い話を考えていましたが、「南光坊天海」を出そうと思いついたあたりから、とんでもなく話が大きくなってしまいます。芋蔓式に信長が出て、比叡山焼き討ちまで掘り下げる羽目になりました。それに伴い、主人公・咲ちゃんも、寝技、立ち技に呪文まで使うスーパーくノ一となり、さらに困ったことに、設定年齢三十三歳の大年増になってしまいました。観樹ファンの方、どうもすみません。
 それ以外の転生キャラも、それなりに見せ場は作ったつもりです。ただし、久遠の絆本編のヒロイン、螢の転生は登場しません。鷹久の転生も、あんな形での登場です。あくまで外伝ですので、これは決めていました。あとは‥‥はぅぅっ、桐子ファンの方、石を投げないで下さい。出そうか出すまいか、迷ったんです。咲自身の手であそこに隠すという筋も考えました。でも、んな血だらけで江戸城から街外れまで歩かせたらマズかろう、幕末編の信吾ぢゃあるまいし、と思いまして。(こらこら)
 基本プロットから初めて、時代考証、呪文の調査、久遠の絆本編との整合性合わせ、とサイドストーリーをつくる作業は、苦しいけど楽しいものでした。どの作業も時間を充分かけられなかったのが、少々残念です。またいつか機会があったら、かつ、読んで下さるひとがおられたら、また筆を執ってみたいと思います。
 最後に、「久遠の絆」という素晴らしいゲームを創られたFOGの方々に感謝します。

梅雨空を見上げつつ。"Final"こと、後藤 隆浩

阿弥陀如来梵字字母 久遠の絆外伝 〜慶長編〜
版乃参
西暦二千年七月三日
作・後藤 隆浩
表紙   不動明王像
見開き  不動明王梵字字母
裏見開き 阿弥陀如来梵字字母

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