千載和歌集 卷十七 雜歌中


1052 五十御賀過(いそぢみがす)ぎて又年春(またのとしのはる)鳥羽殿櫻盛(とばどののさくらのさか)りに、御前花(みさきのはな)御覽(ごらむ)じて()ませ(たま)うける


1053 落花之心(おちばなのこころ)詠侍(よみはべり)ける


1054 僧都賴實(そうづよりざね)身罷(みまか)りて(のち)又年春(またのとしのはる)禪定院花盛(ぜんていゐんのはなさか)りなるを()詠侍(よみはべり)ける


1055 落餝(かしらおろ)して(のち)東山花見(ひがしやまのはなみ)步侍(ありきはべり)けるに、圓城寺花面白(えんじゃうじのはな おもしろ)かりけるを()詠侍(よみはべり)ける


1056 遁世後(とんせいののち)花歌(はなのうた)とて()める


1057 石山(いしやま)度度詣賜(たびたびまうではまう)けるを、果度(はてのたび)關清水許(せきのしみづのもと)御車止(みくるまとど)めて、此度許(このたびばかり)やと心細(こころぼそ)御覽(ごらむ)じて()ませ(たま)うける


1058 (やま)(のぼ)りて暫修行等(しばしおこなひなど)(はべり)ける(とき)詠侍(よみはべり)ける


1059 春頃(はるのころ)粟田(あはだ)(まか)りて()める


1060 歎事侍(なげくことはべり)ける(ころ)()める


1061 前大納言公任(さきのだいなごんきみたふ)長谷(ながたに)()(ところ)籠居(こもりゐ)ける(とき)(つか)はしける


1062 山寺(やまでら)(こも)りて(はべり)ける(ころ)雨降(あめのふ)りて心細(こころぼそ)かりけるに、(ひと)詣來(まうでき)歌等詠(うたなどよ)みける(ついで)()める


1063 除目頃(ぢもくのころ)司給(つかさたま)はらで歎侍(なげきはべり)ける(とき)範永許(のりなががもと)(つか)はしける


1064 寄霞述懷之心(かすみによするむねをのべるのこころ)()める


1065 遁世(よをのが)れて(のち)白河花(しらがはのはな)()()める


1066 花歌(はなのうた)數多詠侍(あまたよみはべり)ける(とき)


1067 【○承前。侍詠數多花歌時。】


1068 ()(そむ)きて又年春(またのとしのはる)(はな)()()める


1069 題不知(だいしらず)


1070 遷都等聞(みやこうつりなどきこ)えける又年春(またのとしのはる)白川花盛(しらがはのはなざか)りに女手(をみなのて)にて花下(はなのした)落置(おとしお)きて(はべり)ける


1071 花盛(はなざか)りに法成寺(ほっしゃうじ)(まゐ)金堂前(こんだうのまへ)花散(はなのち)るを()詠侍(よみはべり)ける


1072 依花待客(はなによりまらうとをまつ)()へる(こころ)()める


1073 圓位法師(えんゐほふし)勸侍(すすめはべり)ける百首歌中(ひゃくしゅのうたのなか)に、花歌(はなのうた)とて()める


1074 花歌(はなのうた)とて()める


1075 (いへ)(さくら)()ゑて詠侍(よみはべり)ける


1076 高倉院春宮御時(たかくらゐんはるのみやのおほむとき)權亮(ごんすけ)(はべり)けるを、參議(さんぎ)にて程經侍(ほどへはべり)ける(ころ)賀茂社歌合(かものやしろのうたあはせ)とて人人詠侍(ひとびとよみはべり)けるに、述懷歌(むねのべるのうた)とて詠侍(よみはべり)ける


1077 崇德院御時(すとくゐんのおほむとき)十五首歌奉(しふごしゅのうたたてまつり)ける(とき)述懷之心(むねのべるのこころ)詠侍(よみはべり)ける


1078 歎事侍(なげくことはべり)ける(ころ)詠侍(よみはべり)ける


1079 述懷歌(むねのべるのうた)とて()める


1080 【○承前。詠述懷歌。】


1081 述懷歌(むねのべるのうた)詠侍(よみはべり)ける(とき)昔白河院(むかししらがはゐん)仕奉(つかうまつり)ける(こと)思出(おもひいで)()める


1082 廣田社歌合(ひろたのやしろのうたあはせ)()める


1083 右大將實房(うだいじゃうさねふさ)中將(ちゅうじゃう)(はべり)ける(とき)十五首歌詠(しふごしゅのうたよ)ませ(はべり)けるに、述懷歌(むねのべるのうた)とて()める


1084 學問料申侍(がくもんれうまうしはべり)けるを(たまは)らず(はべり)ける(とき)人訪(ひとのとぶら)へる返事(かへりごと)()みて(つか)はしける


1085 題不知(だいしらず)


1086 【○承前。無題。】


1087 【○承前。無題。】


1088 攝政右大臣時(せっしゃうのうだいじんのとき)家歌合(いへのうたあはせ)述懷歌(むねのべるのうた)とて()める


1089 司召(つかさめし)伊勢(いせ)()りけるを辭申(じしまうし)ける(とき)大僧正行尊許(だいそうじゃうぎゃうそんがもと)(つか)はしける


1090 田上山里(たながみのやまざと)住侍(すみはべり)ける(ころ)風烈(かぜはげ)しかりける()()める


1091 山田庵(やまだのいほ)煙立(けぶりのた)ちけるを()()める


1092 堀川院御時(ほりかはゐんのおほむとき)百首歌奉(ひゃくしゅのうたたてまつ)りける(とき)山家之心(やまいへのこころ)()める


1093 長月晦頃(ながつきのつごもりごろ)患事有(わづらふことあ)りて、賴無(たのもしげな)(おぼ)えければ、(ひさ)しく()はぬ(ひと)(つか)はしける


1094 女許(をみなのもと)(まか)りて、月明侍(つきのあかくはべり)けるに、空景色(そらのけしき)物心細(ものこころぼそ)(はべり)ければ詠侍(よみはべり)ける


1095 題不知(だいしらず)


1096 【○承前。無題。】


1097 (つね)よりも世間儚(よのなかはかな)(きこ)えける(ころ)相模許(さがみがもと)(つか)はしける


1098 前大納言公任(さきのだいなごんきみたふ)長谷(ながたに)住侍(すみはべり)ける(ころ)風烈(かぜはげ)しかりける()(あした)(つか)はしける


1099 (かへ)


1100 前大納言公任(さきのだいなごんきみたふ)入道(にふだう)(はべり)りて長谷(ながたに)(はべり)ける(とき)僧裝束法服等送侍(そうのしゃうぞくのりのころもなどおくりはべ)るとて(つか)はしける


1101 (かへ)


1102 三條院隱賜(さんでうゐんかくれたま)うて(のち)彼院前(かのゐんのまへ)()ぎけるに、松梢(まつのこずゑ)同樣(おなじさま)にて、築垣所所崩(ついがきところどころくづ)れたるに、葎茂(むぐらのしげ)りたるを()て、其中(そのうち)江侍從(ごうのじじゅう)(はべり)けるに(つか)はしける


1103 一品聰子內親王(いっぽんさとこないしんわう)仁和寺(にんわじ)住侍(すみはべり)ける冬頃(ふゆころ)筧冰(かけひのこほり)三御子(みつのみこのもと)(おく)られて(はべり)ければ(つか)はしける


1104 (かへ)


1105 大納言實家許(だいなごんさねいへのもと)三十六人集(さんじふろくにんしふ)返遣(かへしつか)はしける(なか)に、故大炊御門右大臣(こおほいみかどのみぎのおほいまうちぎみ)()きて(はべり)ける草子(さうし)()きて押付(おしつ)けられて(はべり)ける


1106 (かへ)


1107 高野(たかの)詣侍(まうではべり)ける(とき)山路(やまぢ)にて詠侍(よみはべり)ける


1108 述懷之心(むねのべるのこころ)詠侍(よみはべり)ける


1109 大峰通(おほみねとほ)りける(とき)笙岩屋(しゃうのいはや)()宿(やど)にて詠侍(よみはべり)ける


1110 述懷歌(むねのべるのうた)とて詠侍(よみはべり)ける


1111 【○承前。侍詠述懷歌。】


1112 【○承前。侍詠述懷歌。】


1113 百首歌中(ひゃくしゅのうたのなか)に、述懷歌(むねのべるのうた)とて()める


1114 【○承前。百首歌中,詠述懷歌。】


1115 題不知(だいしらず)


1116 十月(かむなづき)重服(ぢゅうぶく)()りて(はべり)ける又年春(またのとしのはる)傍官共加階侍(ぼうかんどもかかいしはべり)けるを()きて()める


1117 題不知(だいしらず)


1118 遠國(とほきくに)(はべり)ける(とき)同樣(なおじさま)なる物共事直(ものどもことなほ)りて(のぼ)ると(きこ)えける(とき)其中(そのうち)()れにけりと()きて、都人許(みやこのひとのもと)(つか)はしける


1119 ()(そむ)かむと思立(おもひた)ちける(ころ)()める


1120 心外(こころのほか)なる(こと)にて()らぬ(くに)(まか)れりけるを、事直(ことなほ)りて(きゃう)(のぼ)りて(のち)日吉御社(ひよしのみやしろ)(まゐ)りて詠侍(よみはべり)ける


1121 述懷歌(むねのべるのうた)詠侍(よみはべり)ける(とき)


1122 修行(おこなひ)罷步(まかりあり)きける(とき)()める


1123 世常無(よのつねな)(こと)(おも)ひて詠侍(よみはべり)ける


1124 患事有(わづらふことあ)りて雲林院(うりんゐん)なる(ところ)(まか)りけるに、人訪(ひとのとぶら)へりければ(つか)はしける


1125 題不知(だいしらず)


1126 【○承前。無題。】


1127 述懷百首歌中(むねのべるひゃくしゅのうたのなか)に、夢歌(ゆめのうた)とて()める


1128 百首歌奉(ひゃくしゅのうたたてまつ)りける(とき)無常之心(つねなきのこころ)()める


1129 【○承前。奉百首歌時,詠無常之趣。詞花集0346。】


1130 【○承前。奉百首歌時,詠無常之趣。】


1131 【○承前。奉百首歌時,詠無常之趣。】


1132 前大僧正覺忠(さきのだいそうじゃうかくちゅう)御嶽(みたけ)より大峯(おほみね)罷入(まかりい)りて、神仙(ひじり)()(ところ)にて、金泥法華經(こんでいほけきゃう)書奉(かきたてまつ)りて埋侍(うづみはべ)るとて五十日許留(いそかばかりとどま)りて(はべり)けるに、房覺(はうかく)熊野方(くまのかた)より罷侍(まかりはべり)けるに()けて云置(いひお)くりける


1133 (かへ)


1134 閑居水聲(かんきょのみづこゑ)()へる(こころ)詠侍(よみはべり)ける


1135 高野(たかの)(まゐ)りて(はべり)けるに、奥院(おくのゐん)靜蓮法師(じゃうれんほふし)庵室(あんじつ)(まか)りたりけるに、(あはれ)()えければ。(かへり)(つか)はしける


1136 秋比(あきのころ)(やま)(のぼ)りて横川安樂五僧許(よかはのあんらくのいつそうのもと)(まか)れりけるに、正法房障子(しゃうぼふばうのしゃうじ)書付侍(かきつけはべり)ける


1137 題不知(だいしらず) 【○百人一首0095。】


1138 【○承前。無題。】


1139 【○承前。無題。】


1140 【○承前。無題。】


1141 【○承前。無題。】


1142 樣變(さまかへ)むと思立(おもひた)(ひと)物哀(ものあはれ)なる夕暮(ゆふぐれ)箏琴彈(さうのことひ)くを()きて()める


1143 題不知(だいしらず)


1144 病有(やまひあ)りて東山(ひがしやま)なる(ところ)(はべり)けるを、(よろ)しくなりて(のち)如何(いかが)人問(ひとのと)ひて(はべり)ける返事(かへりごと)()める


1145 題不知(だいしらず)


1146 賀茂社歌合(かものやしろのうたあはせ)に、述懷歌(むねのべるのうた)とて()める


1147 山寺(やまでら)籠居侍(こもりゐはべり)けるに、(はう)(とどま)りたる(ひと)の、何時出(いつかいで)むずると()(はべり)ければ言遣(いひつか)はしける


1148 源清雅(みなもとのきよまさ)九月許(ながつきばかり)樣變(さまかへ)山寺(やまでら)(はべり)けるを、人問(ひとのと)ひて(はべり)ける返事(かへりごと)せよと申侍(まうしはべり)ければ、()みて(つか)はしける


1149 題不知(だいしらず)


1150 【○承前。無題。】


1151 述懷百首歌詠侍(むねのべるひゃくしゅのうたよみはべり)ける(とき)鹿歌(しかのうた)とて()める 【○百人一首0083。】


1152 秋頃(あきのころ)山寺(やまでら)にて詠侍(よみはべり)ける


1153 題不知(だいしらず)


1154 大宰大貳重家入道(だざいだいにしげいへにふだう)身罷(みまか)りて(のち)山寺懷舊(やまでらのくわいきう)()へる(こころ)()める


1155 春頃(はるころ)久我(くが)(まか)れりける(ついで)に、父大臣(ちちおとど)墓所邊(はかどころのあたり)花散(はなち)りけるを()て、昔花(むかしはな)昔侍(をしみはべり)ける心指(こころざ)等思出(などおもひいで)詠侍(よみはべり)ける


1156 落餝(かしらおろし)(のち)前中納言雅賴(さきちゅうなごんまさより)()小男(こをとこ)(はべり)ける(とき)(はじ)めて昇殿申(しょうでんまう)させ(はべり)けるを、(ゆる)されて(はべり)ければ、()みて(まう)せさせ(はべり)ける


1157 還昇(くわんじょう)して(はべり)ける人許(ひとのもと)(つか)はしける


1158 今上御時(きんじゃうのおほむとき)五節之程(ごせちのほど)侍從定家(じじゅうさだいへ)誤有樣(あやまちあるさま)聞召(きこしめ)事有(ことあ)りて、殿上除(てんじゃうのぞか)れて(はべり)ける、其年(そのとし)(くれ)にける又年彌生朔頃(またのとしのやよひのついたちころ)(ゐん)御氣色賜(おほむけしきたま)はるべき(よし)左少辨定長許(させうべんさだなががもと)申侍(まうしはべり)けるに()へて(はべり)ける


1159 此由(このよし)奏申侍(さうしまうしはべり)ければ、甚畏(いとかしこ)(あは)れがらせ御座(おましま)して、(いま)早還昇仰下(はやくわんじょうおほせくだ)すべき(よし)御氣色有(おほむけしきあ)りて、心晴(こころは)るる(よし)(かへ)仰遣(おほせつか)はせと仰出(おほせいだ)されければ、()みて(つか)はしける