齋宮女御集(さいぐうのにょうごしふ)
西本願寺卅六人集

徽子女王

001 近程(ちかきほど)に渡(わた)らせ給ひて、音連(おとづ)れ聞給(きこえたま)はねば、女三宮より。
002 御返(おほかへ)し女御殿四宮。 【○後拾遺1093。】
003 帝(村上),村雨に驚(おどろ)かされ給ひて、急(いそ)ぎ渡(わた)らせ給ひに。
004 女御失(う)せ給(たま)ひて後、齋院(さいゐん)の御弔(みとぶら)ひの御歸(みかへ)りに齋宮(さいぐう)。
005 參上(まうのぼ)らせ給へるに、上御殿籠(うへのみとのごも)りたる程(ほど)なれば、唯(ただ)に下給(おりたま)ひて務(つとめ)て。 【後拾遺0871。】
006 後に內(うち)より間遠(まどほ)に在(あ)れやと聞(きこ)えさせ給へる、御返(みかへ)りに。 【新古今1210。】
007 折知(をりし)らず。女御。
008 御返(みかへ)しに。 【○新古今1412。】
009 上(うへ)の久度(ひさしくわた)らせ給(たま)はぬ秋夕暮(あきのゆふぐれに、琴(きん)を甚愛(いとめ)でたく彈給(ひきたま)ふに、上、白(しろ)き御苑萎(みぞのな)えたるを奉(たてまつ)りて、急度(いそぎわた)らせ給ひて、御側(おんかたはら)に居(ゐ)させ給へど、人の御座(おは)するとも見入(みい)れさせ給はぬ景色(けしき)にて彈給(ひきたま)ふを聞召(きこしめ)せば。 【○後拾遺0319。】
010 と聞付給(ききつけたま)へる御心地(みここち)なむ甚世智(いとせち)なりしとぞ御日記にはありける、後に參上(まうのぼ)らせ給へると聞えさせ給へど、然(さ)も有(あ)らねば、殊(こと)人をなむ聞(き)かせ給ひて。
011 如何(いか)なる折(をり)にありけむ御硯(すずり)に入給(いれたま)ひたりける。
012 同頃(おなじころ)。
013 上(うへ)より御文(みふみ)の有(あり)ける御返(みかへ)しに。
014 服(ぶく)に御座(おは)しましけるに、內(うち)より間遠(まどほ)なりける御文(みふみ)に、日頃覺(おぼ)し集(あつ)めたる事(こと)を御手習(おてなら)ひの樣(やう)にて奉(たてまつ)らせ給ひける。
015 露(つゆ)も久(ひさ)しき。
016 誰(た)に云(い)へとか。
017 【○承前。】
018 又女御言(い)はむ方無(かたな)のよや、目(め)の覺(さ)めつつ。
019 類有(たぐひあ)らじかし。
020 非(あら)じ我(わ)が身(み)を。
021 又女御、哀(あは)れの樣(さま)やと。 【○新古今0348。】
022 又女御限(かぎ)りなりけり。
023 見苦(みぐるし)の樣(やう)や例(れい)の山懷(やまふところ)。
024 如何(いか)なる事(こと)の有(あり)けむ。
025 すけなりが女(むすめ)、東宮(はるのみや)に參(まゐ)らむと聞(きこ)えて、或男(あるをとこ)につきにけりと聞給(ききたま)ひて。
026 冷泉院(れむぜいゐん)の池(いけ)に浮草(うきくさ)の有(あ)るを思亂(おぼしみだ)るる頃(ころ)にや有(あり)けむ。
027 同宮(おなじみや)にて向(むか)ひたる西對(にしのたい)に、堀河院(ほりかはどの)の北方(きたのかた)住給(すみたま)ふより。
028 御返(みかへ)り。
029 又野分(のわき)したる務(つと)めて北方(きたのかた)。
030 御返(みかへ)り。
031 又北方(きたのかた)違(たが)へして歸給(かへりたま)へる。又日(またのひ)。
032 雨降(あめのふ)るに、三條宮(さんでうのみや)にて。
033 東三條院(ひがしのさんでうのゐん)にて。
034 內(うち)にて御前(みまへ)の藤(ふぢ)をなむ忍(しの)びて扱(こ)く人有(ひとあり)と聞(き)かせ給(たま)ひて。
035 父宮(重明親王)の御座(おは)しける時(とき)に、母上(ははうへ)の御形等(みかたちなど)を、今(いま)の北方(きたのかた)の語聞(きたりきこ)え給(たま)ひて、御髮(みぐし)の愛(め)でたかりしは復有(またあ)らむやとて、取(と)りに奉給(たてまつりたま)へりければ。
036 とて奉(たてまつ)らせ給ふ、父宮(ちちみや)失給(うせたま)ひて又年(またのとし)の正月一日(むつきのついたち)に。
037 雪降日(ゆきのふるひ)物心細(もののこころぼそ)きに。
038 繼母(ままはは)の北方(きたのかた)。
039 右馬頭(むまのかみ)の兄弟(はらから)少將の宮使(みやづか)へすべしと聞(き)かせ給(たま)ひて、さて過暮(すぎくれ)のとの給へ馳(は)せたりければ少將。
040 御返(みかへ)し。
041 前代御祖父(まへのだいのみそふ)に御親手(てづから)物書(か)かせ給へる物共(ものども)を、馬內侍(むまのないし)に見せに遣(つか)はしたりければ、上(うへ)の見せむとの給はせしを、隱(かく)れさせ給ひしかば、口惜(くちをし)かりしに甚嬉(いとうれ)しくとて。馬內侍(むまのないし)。 【○新古今0806。】
042 とて中に入れて、御文(みふみ)には下(した)に唯紙(ただのかみ)の有(あ)るに書付(かきつ)く。
043 【○承前。】
044 御返(みかへ)し。 【○新古今0807。】
045 【○承前。】
046 【○承前。】
047 宣耀殿女御(せえうでんのにょうご)の御許(みもと)に。
048 御返(みかへ)し。
049 野宮(ののみや)に御座(おは)しける頃(ころ)、三條殿(さんでうのどの)より真弓紅葉(まゆみのもみぢ)の一葉有(ひとはあ)るに指(さ)して。
050 伊勢(いせ)に下給(くだりたま)ひて、同宮(おなじみや)の御幣使(みてぐらづかひ)に、下(くだ)りたりけるに、御文無(みふみのな)かりければ。
051 宇治(うぢ)に御座為(おはせ)し時(とき)、雛遊(ひいなあそび)に神御許(かみのみもと)に詣(まう)づる女(をみな)に、男迄逢(をとこまであ)ひて物言交(ものいひかは)す。
052 女(をみな)の返(かへ)し
053 同(おな)じ雛社前(ひなのやしろのまへ)の川(かは)に紅葉散(もみぢち)る所(ところ)にて。
054 馬內侍(むまのないし)、山吹(やまぶき)に指(さ)して。
055 御返(みかへ)し
056 久(ひさ)しく里(さと)に御座(おは)しける頃(ころ)、同內侍許(おなじないしのもと)に。 【後拾遺0879。】
057 伊勢(いせ)の後(のち)の御下(みくだ)りの度(たび)、昔覺(むかしおぼ)しいでて。
058 宮(みや)の御返(みかへ)し。
059 大王宮(たいわうのみや)に。 【○後拾遺1002。】
060 御返(みかへ)し。 【○後拾遺1003。】
061 一品宮より紙(かみ)を繼(つ)がせて玆(これ)に物書(ものか)かせたま(給)ひてと聞(き)こえ給(たま)へりければ、琴頭(ことがみ)を繼(つ)ぎて書(か)かせ給(たま)ひて。宮。
062 御返(みかへ)し。
063 伊勢(いせ)の御下(みくだ)りに齋院(さいゐん)より。 【○續古今0833。】
064 御返(みかへ)し。 【○續古今0834。】
065 桃園宮(ももぞののみや)に御琴(みこと)かり聞(きこ)えさせ給(たま)ひて、返(かへ)し奉(たてまつ)らせ給(たま)ふに。
066 御返(みかへ)し。あい宮。
067 伊勢(いせ)より。 【○新古今0908。】
068 御返(みかへ)し。あい宮。
069 峰君失(みねのきみう)せ給(たま)ひての頃(ころ)
070 御返(みかへ)し。同(おな)じ。
071 一品宮より、伊勢御下(いせのみくだりに。
072 御返(みかへ)し、同(おな)じ折(をり)に女御殿より。
073 御返(みかへ)し。
074 忍(しの)びて下給(くだりたま)へれば、尼(あま)にならせ給(たま)ひぬと聞(き)きて土御門(つちみかど)と云(い)ふ。
075 御返(みかへ)し。宮。
076 兵部卿宮(ひゃうぶきゃうのみや)入道にふだう()し給へりしに伊勢(いせ)より。
077 女三宮の御草紙書(みさうしか)かせ奉給(たてまつりたま)ひけるに、葦(あし)で長歌等書(なかうたなどか)かせ給ひて同所(おなじところ)。 【○新古今1796。】
078 伊勢(いせ)に大淀浦(おほよどのうら)と云所(いふところ)に松甚多(まついとおほ)かりける御祓(みはら)へに。 【○新古今1606。】
079 七月七日(たなばた)に。 【○新古今0325。】
080 同日片脇(おなじひかたわき)て前栽合(せんざいあは)せせさせ給(たま)けるを、雨甚降(あめいたうふ)りて、其日止(そのひとま)りぬ、方人心元無(かたひとこころもとな)かりけれは。女御殿。
081 為恭(ためちか)が同胞(はらから)の為(ため)くに、齋宮(さいぐう)の雷(かみなり)に、五月五日參(まゐ)りて、宮御前(みやのおまへ)の遣水(やりみづ)を參河池(みかはのいけ)となむ云(い)ふなる台盤所(だいばんどころ)にて。
082 忍(しの)びて下給(くだりたま)ふ也(なり)とて、女御殿より。
083 下給(くだりたま)ひは遣(つか)なるべし、御返(みかへ)り伊勢(いせ)より。
084 又御返(またみかへ)し。
085 女三宮の御服拔給(みぶくぬきたま)へる頃(ころ)、一品宮に伊勢(いせ)より。
086 伊勢(いせ)より麗景殿(れいけいでん)齋宮(さいぐう)の宮(みや)に
087 宮(みや)の御服拔(みぶくぬ)かせ給(たま)ふ頃(ころ)、一品宮に伊勢(いせ)より。御返(みかへ)し。
088 内(うち)にて何折(なにのおり)にか有(あり)けむ。
089 父親王失給(ちちみこうせたま)ひて後(のち)、返事(かへりごと)に。
090 久(ひさし)く參給(まゐりたま)はざりければ。
091 御返(みかへ)し。女御。
092 上(うへ)の御夢(みゆめ)に見(み)えさせ給(たま)ひければ。 【○新古今1384。】
093 又事折(またことをり)に。
094 兵部卿宮(ひゃうぶきゃうのみや)四君。
095 御返(みかへ)し。女御殿。
096 女御殿(にょうごどの)の御返し。
097 池(いけ)に藤掛(ふぢかか)りたるを女御殿。 【○後拾遺0153。】
098 女御殿(にょうごどの)の御方(みかた)に花有(はなのあり)けるを御覽為(ごらむせ)むとありければ、梅枝(むめのえだ)を折(をり)て上る。
099 御返(みかへ)し。
100 春(はる)まかて給ひて秋(あき)とや聞給(きこえたま)ひけむ。 【○新古今1417。】
101 惱(なや)ませ給(たまひ)ける頃(ころ)上る。 【○續古今1745。】
102 如何(いか)なる折(をり)にか有(あり)けむ。