玉葉和歌集 卷第二 春歌下


0136 五十首御歌中ごじっしゅのみうたのなかに


0137 初花はつばなを


0138 花歌中はなのうたのなかに


0139 【○承前。花歌之中。】


0140 【○承前。花歌之中。】


0141 花漸盛はなようやくさかりと云いふ事ことを


0142 見花はなみと云事いふことを


0143 題知だいしらず


0144 靜為しづかならむと思侍おもひはべる頃ころ、花見はなみに人人詣來ひとびとまうできたりければ


0145 修行おこなひし侍はべりける道みちにて、花面白はなおもしろかりける所ところにて詠侍よみはべりける


0146 花歌はなのうたとて詠侍よみはべりける


0147 正治二年百首歌しゃうぢにねんのひゃくしゅのうたに


0148 春御歌中はるのみうたのなかに


0149 山花やまばな


0150 山家花さんかのはなを


0151 俊惠法師しゅんゑほふし、歌林苑月次歌かりんゑんのつきなみのうたに


0152 千五百番歌合せんごひゃくばんのうたあはせに


0153 暮山花くれやまばなを


0154 題知だいしらず


0155 花盛はなのさかりに雨降あめふり侍はべりける日ひ、西園寺さいをんじに御幸有みゆきありて、花御覽はなごらむぜられける時とき、詠よませ給たまうける


0156 【○承前。侍花盛雨降之日,有行幸西園寺賞花時令詠。】


0157 題だいを探さぐりて人人歌仕奉ひとびとうたつかうまつりけるに、春路はるぢと云事いふことを


0158 齋院さいゐんに侍はべりける時とき、宇治前關白太政大臣うぢのさきのくわんぱくだいじゃうだいじん所所花見ところどころのはなみる由聞よしききて申遣まうしつかはしける


0159 返かへし、關白くわんぱくに代かはりて詠侍よみはべりける


0160 逐日看花ちくじつかんくわと云事いふことを


0161 白川院花見御幸時しらがはゐんはなみのみゆきのとき、詠侍よみはべりける


0162 見花日暮けんくわにちぼと云いふ事ことを


0163 平忠度朝臣たひらのただのりのあそん、山里花見侍やまざとのはなみはべりけるに、「家苞いへづとは折をらずや?」と申遣まうしつかはして侍はべりければ、「家苞いへづとも、未折知まだをりしらず、山櫻やまざくら、散ちらて歸かへりし、春はるし無なければ。」と申まをして侍はべりける返事かへりごとに


0164 法金剛院花盛ほふこんがうゐんのはなのさかりに、上西門院藏人共誘じゃうさいもんゐんのくらうどどもいざなひて花見侍はなみはべりけるに、暫見しばしみて過侍すぎはべりけるを、「如何いかに花はなを見捨みすてては歸かへるぞ?」と申侍まうしはべりければ


0165 花はなを詠侍よみはべりける


0166 花木共はなきどもを數多あまたうゑさせ給たまひて風吹かぜふきける日ひ、詠よませ給たまうける


0167 題知だいしらず


0168 【○承前。無題。】


0169 花歌中はなのうたのなかに


0170 三月許やよひばかりに、人人數多伴ひとびとあまたともなひて花見はなみて歸かへり侍はべりけるに


0171 題知だいしらず


0172 人家ひとのいへに暫侍しばしはべりけるに、彌生朔頃やよひのついたちころ、花盛はなのさかりに復他またほかへ罷まかるとて詠侍よみはべりける


0173 花歌はなのうたとて


0174 春歌中はるのうたのなかに


0175 【○承前。春歌之中。】


0176 花未飽くわみほうと云いふ事ことを


0177 花十首御歌中はなのじっしゅのみうたのなかに


0178 內裏だいりにて題だいを探さぐりて人人歌仕奉ひとびとうたつかうまつりける時とき、花はなを


0179 折花をりばなと云いふ心こころを


0180 光明峰寺入道前攝政くわうみゃうふじにふだうさきのせっしゃう、內大臣ないだいじんに侍はべりける時とき、詠よませ侍はべりける百首歌ひゃくしゅのうたに、尋花じんくわと云事いふことを


0181 三條右大臣さんでううだいじんに伴ともなひて花見侍はなみはべりけるに、急いそぐ事有ことありて歸かへるとて詠侍よみはべりける


0182 返かへし


0183 題知だいしらず


0184 【○承前。無題。】


0185 春頃はるころ、西山にしやまなる所ところに暫侍しばしはべりけるに、花面白はなおもしろく咲渡さきわたれるに、人目ひとめも見みえざりければ


0186 故鄉花ふるさとはなと云いふ事ことを


0187 題知だいしらず


0188 花御歌中はなのみうたのなかに


0189 花十首歌詠侍はなのじっしゅのうたよみはべりけるに、山花やまばな


0190 花歌はなのうたとて


0191 【○承前。詠花歌。】


0192 【○承前。詠花歌。】


0193 守覺法親王家しゅかくほふしんわうのいへに五十首歌詠ごじっしゅのうたよませ侍はべりける時とき、詠よみて遣つかはしける春歌はるのうた


0194 千五百番歌合せんごひゃくばんのうたあはせに


0195 後京極攝政ごきゃうごくせっしゃう、左大將さだいしゃうに侍はべりける時とき、家いへに六百番歌合ろくぴゃくばんうたあはせし侍はべりけるに、春曙はるのあけぼの


0196 曙花あけぼののはなを


0197 【○承前。詠曙花。】


0198 【○承前。詠曙花。】


0199 春朝之心はるのあさのこころを詠侍よみはべりける


0200 夕花ゆふばなと云事いふことを


0201 題知だいしらず


0202 山花やまばなを


0203 花御歌中はなのみうたのなかに


0204 【○承前。花御歌中。】


0205 春歌中はるのうたのなかに


0206 家花盛いへのはなさかりに、內女房誘うちのにうばうさそひて見みせ侍はべりけるに、大納言三位だいなごんさんゐに消息せうそこして侍はべりけるを、障事有さはることある由よし申まをして罷まからず侍はべりければ、詠よみて譴つかはしける


0207 返かへし


0208 暮山花くれやまのはなと云いへる心こころを


0209 題知だいしらず


0210 五十番歌合ごじつばんのうたあはせに、夕花ゆふばな


0211 建保五年四月けんぽごねんうづき庚申かうしんに、春夜はるのよ


0212 為兼家ためかねがいへに歌合うたあはせし侍はべりし時とき、同心おなじこころを


0213 題知だいしらず


0214 春月はるのつき


0215 尋花日暮じんくわにちぼと云いふ心こころを


0216 源氏信みなもとのうぢのぶが跡あとに二本櫻有二本ふたもとのさくらあり、名高なだかき花為はななるによりて、人人誘ひとびとさそひて見侍みはべりけるに、程無ほどなく暮くれて月出つきいでにける後のち、各各歌詠侍おのおのうたよみはべりける時とき


0217 花見侍はなみはべりけるに、齋院さいゐんより、忌いみじく常ながき柳枝やなぎのえだを折おりて、「絲本いとのもとには。」と言いはせて侍はべりければ


0218 冷泉院れいぜんゐん、春宮とうぐうに御座おはしましける時とき、百首歌召ひゃくしゅのうためしける中なかに、春歌はるのうた


0219 山路落花やまぢのらっか


0220 右大臣うだいじんに侍はべりける時とき、家いへに百首歌詠侍ひゃくしゅのうたよみはべりける中なかに


0221 春歌中はるのうたのなかに


0222 落花おちばな


0223 【○承前。落花。】


0224 【○承前。落花。】


0225 春歌中はるのうたのなかに


0226 【○承前。春歌中。】


0227 題知だいしらず


0228 【○承前。無題。】


0229 春歌はるのうたとて


0230 長治二年閏二月ちゃうぢにねんのうるふきさらぎ、中宮花合ちゅうぐうのはなあはせの序ついでに申侍まうしはべりける


0231 題不知だいしらず


0232 花はなを


0233 月前落花つきさきのおちばなと云事いふことを詠よませ給たまうける


0234 題知だいしらず


0235 春月はるのつきを


0236 【○承前。詠春月。】


0237 花歌はなのうたに


0238 【○承前。花歌中。】


0239 百首歌中ひゃくしゅのうたのなかに


0240 閑中花かんちゆうくわ


0241 題知だいしらず


0242 【○承前。無題。】


0243 西山にしやまに住侍すみはべりける頃ころ、花盛はなのさかりに前大納言為家さきのだいなごんためいへ人人誘ひとびとさそひて尋たづね詣來まうできて歌詠交うたよみかはして侍はべりけるを、殿上人中うへのおのこのなかより尋侍たづねはべりければ、送遣おくりつかはすとて書添侍かきそへはべりける


0244 花歌中はなのうたのなかに


0245 【○承前。花歌之中。】


0246 家櫻いへのさくらの風かぜに散ちりけるを見みて詠よめる


0247 延喜御時えんぎのおほむとき、御屏風おほむびゃうぶに


0248 雨中落花うちゆうらくくわ


0249 春御歌中はるのみうたのなかに


0250 花はなを詠よませ給たまひける


0251 永仁三年三月えいにんさんねんやよひ、內裏三首歌講だいりのさんしゅのうたかうぜられ侍はべりし時とき、山路落花やまぢおちばな


0252 嘉元百首歌奉かげんのひゃくしゅのうたたてまつりけるに、花はな


0253 春歌中はるのうたのなかに


0254 【○承前。春歌之中。】


0255 【○承前。春歌之中。】


0256 春夜之心はるよのこころを


0257 守覺法親王家五十首歌中しゅかくほふしんわうのいへのごじっしゅのうたのなかに


0258 花歌中はなのうたのなかに


0259 夕落花ゆふべのおちばなを詠侍よみはべりける


0260 重保しげやす進侍すすめはべりける賀茂社歌合かものやしろのうたあはせに、花はなを詠侍よみはべりける


0261 同心おなじこころを


0262 中務なかつかさ里さとに出いでて侍はべりけるが、「今日參けふまゐる。」とのみ申程まをすほどに、御前櫻おまへのさくら散果ちりはてぬべく成なりにければ、言遣いひつかはしける


0263 返かへし


0264 北山きたやまに花見はなみに罷まかりて侍はべりけるに、皆散積みなちりつもりて侍はべりければ


0265 題知だいしらず


0266 雨中春庭うちゅうしゅんていと云事いふことを


0267 春歌中はるのうたのなかに


0268 【○承前。春歌之中。】


0269 冷泉院春宮れいぜんゐんのとうぐうと申まをしける時とき、御前おまへなる八重山吹やへのやまぶきを見みて


0270 賀茂社かものやしろへ詠よみて奉たてまつりける百首歌ひゃくしゅのうたに、山吹やまぶきを


0271 暮山之心くれやまのこころを


0272 【○承前。詠暮山之趣。】


0273 【○承前。詠暮山之趣。】


0274 【○承前。詠暮山之趣。】


0275 暮春霞くれのはるがすみ


0276 彌生やよひの末方すゑつかた梢青こずゑあをみ渡わたりて雨降あめふりけるを御覽ごらむして


0277 暮春雨くれのはるさめと云事いふことを


0278 延長八年三月えんちゃうはちねんのやよひ、藤壺ふぢつぼにて藤宴ふぢのうたげせさせ給たまひけるに


0279 題知だいしらず


0280 【○承前。無題。】


0281 暮春歌くれはるのうたとて


0282 【○承前。暮春之歌。】


0283 古寺殘花こじざんくわと云事いふことを


0284 暮春鶯くれはるのうぐひすと云いふ心こころを詠よませ給たまうける


0285 千五百番歌合せんごひゃくばんのうたあはせに


0286 暮春歌くれはるのうたとて


0287 二條院御時にでうゐんのおほむとき、春殘二日しゅんざんにじつと云事いふことを殿上人仕奉うへのおのこともつかうまつりけるに


0288 暮春朝くれはるのあしたと云いふ事ことを人人ひとびとに詠よませ給たまうけるに


0289 雨中三月盡うちうのやよひのつごもりと云事いふことを詠よませ給たまうける


0290 春日社かすがのやしろへ奉たてまつりける百首歌中ひゃくしゅのうたのなかに、三月盡之心やよひのつごもりのこころを


0291 同心おなじこころを


0292 彌生晦夜やよひのつごもりのよ、詠侍よみはべりし