伊勢内宮神前祝詞
神風の伊勢國 折鈴五十鈴原の 底津石根に 大宮柱太敷立 高天原に 比木高知て
鎮座坐す掛巻も稜に 尊き天照皇大御神 亦の御称は憧賢木厳之御魂天疎向津比売之命
亦の御号は天照大日霊之命の 大朝廷を祝斎を 云巻も畏加礼ど
天津日嗣知食皇命の 大御代を 常磐に 堅磐に 護り
奉給ひ 現き青人草をも 恵み幸へ給へる 広く厚き御恩頼に 報ひ奉ると
称辞竟奉りて 拝み奉る状を 平けく 安けく 聞食と 恐み 恐みも 白す
伊勢外宮神前祝詞
神風の伊勢國 渡会の山田の原の 底津石根に 大宮柱太敷立 高天原に 千木高知て
鎮り座坐す 外宮豊受皇大神 亦の御号は保食大神とも 稲荷大神とも 申奉りて
蒼生等が 喰て生べき五穀を始め 諸諸の食物衣物に至る及に 生幸へ給ふ
広く厚き御恵に 報い奉ると 称辞竟奉て 拝み奉る状を
平けく安けく聞食と 恐み 恐みも 白す
稲荷祝詞
掛巻も恐き 稲荷大神の大前に 恐み恐みも白く 朝に夕に 勤み務る
家の産業を 緩事無く 怠事無く 弥奨め奨め賜ひ 弥助に助賜ひて
家門高く
令吹興賜ひ 堅磐に常磐に命長く 子孫の八十連属に至るまで
茂し八桑枝の如く 令立槃賜ひ 家にも 身にも 枉神の枉事 不令有過
犯す事の有むをば 神直日大直日に 見直聞直座て
夜の守 日の守に 守幸へ賜へと 恐み恐みも白す
稲荷祝詞略詞
掛巻も 恐き 稲荷大神の大前に 恐み恐みも白く 大神の 厚き弘き恩頼に依て
家門を 令起賜ひ 令立栄賜ひ 夜の守日の守に 守幸へ賜へと 恐み恐みも白す
丹生大明神告門詞
懸幕も恐き皇大御神を 歳の中に月を撰び 月の中に日を撰び定めて 霜月の秋の御門 仕え祭りて申さく
高天原に 神積ります 天の石倉押し放ち 天の石門を忍し開き給ひ 天の八重曇を
伊豆の道別きに 道別き給ひて 豊葦原の美豆穂の國に 美豆け給ふとして 國郡は佐波にあれども
紀伊國 伊都郡 庵田村の 石口に 天降りまして
大御名を申さば恐こし
申さずば恐こき 伊佐奈支 伊佐奈美の命の御子
天の御蔭 日の御蔭
丹生都比賣 の大御神と 大御名を顕はし給ひて
丹生川上 水分の峰に 上り坐て國かかし給ひ
下り坐て十市の郡 丹生に忌杖刺し給ひ 下り坐て巨勢の丹生に忌杖刺し給ひ
下り坐て宇知郡の 布布木の丹生に 忌杖刺し給ひ
上り坐て伊勢津美に太坐
下り坐て巨佐布の所に 忌杖刺し給ひ 下り坐て小都知の峰に 太坐
上り坐て天野原に 忌杖刺し給ひ 下り坐て長谷原に 忌杖刺し給ひ
下り坐て神野麻國に 忌杖刺し給ひ 下り坐て安梨諦の夏瀬の丹生に 忌杖刺し給ひ
下り坐て日高郡 江川の丹生に忌杖刺し給ひ 返り坐て那賀郡 赤穂山の布気といふ所に
太坐て
遷り幸して名手村 丹生の屋の所に 夜殿太坐
遷り幸して伊都郡 佐夜久の宮に太坐
則ち天野原に上り坐
皇御孫の命の宇閇湛の任に 於土をば下に掘り返し
下土をば於に掘り返し 大宮柱太知り立て奉り給ひ 高天の原に
知木高知り奉り 朝日なす輝く宮 夕日なす光る宮に
世の長杵に 常世の宮に静まり坐せと申す