美保貴大祓詞
掻き見る 空の極み無く 打ち見る 地の行合に生きとし 生ける物有りとし有る物皆を
心楽しの随に 成り出でしめ給ひ 恵しの御心より 助け育し給ふ 神の御名を
天照國照統大神と称へ奉りて 言祝ぎ真祝ぎに 祝ぎ奉らくは 大神は
天地を初めて 萬の物をも 生み成し給ひけるが中に 此の荒金の土に
生ふる天益人等の 清き明き心を 珍の盛りに 成し幸へしめ給ひて
世には荒振る者も無く 仕へ奉らむ人も無く 最も楽しく尊けく
朝夕に神祭仕へしめ給ひ 日に異に楽しく忝き心持ちて 各も各も命の随に
勤しましめ給ひて 八千萬百千萬の末掛けて 守り給ひ恵み給はむ 理の隠ろひて
八重雲の穢湧き出でて 天津罪國津罪許許太久の罪出でむを 天津奇し誓言立てて
悪祓善祓に祓の行仕へ奉り 大祓の遠祓に 祓ひ清めて 仕へ奉らくを
畏き統大神は 天八重雲を厳の千別きに 千別きて聞し食さむ 高山の伊褒理
低山の伊褒理を 掻き別けて聞し食さむ 斯く聞し食しては 天下四方の國には
罪と言ふ罪は在らじと 朝の御霧 夕の御霧を 朝風夕風の吹き払う事の如く
彼方の繁木が 本を焼鎌の 利鎌以て打ち掃ふ事の如く 天の益人等が
穢と言ふ 穢罪と言ふ 罪をば祓ひ清め給ひて 畏き統大神に
纏ろひ奉り神命を 尊び奉り互に懐かしみ親しみ合ひて 統大神の神図りの随に
御國は八廣殿の千木は 高天原に 高知り底津磐根に 宮柱太敷き立てて
青雲の棚引く極み 塩沫の至り止まる限り 廣ごり栄へしめ給ふ事を
尊び奉り忝み奉りて 楽しく面白の心持ちて 各も各もその命
命に仕へしめ給ふと 言祝ぎ 真祝ぎに 称詞竟へ 奉らくと白す
復命祝詞
綾に畏き 天照國照統大神の御前に 拝み奉り 諸諸の命神等
世世の御祖命 教主命 惠蒙れる人等の御前をも
尊び奉りて 恐こみ 恐こみも 白さく
統大神の 高く尊き霊威を 蒙り奉りて 任け給ひ寄さし給ひし
大命の違ふ事無く 怠る事無く 仕へ奉ると 諸諸の荒び疎ぶる
禍津日の禍事に 穢るる事無く 横さの道に迷ひ入る事無く
言退け行ひ和して 玉鉾の直指す道を 踏み違へじと
真木柱太敷く立てて 仕へ奉りし状を 忝み奉りつつ 復命竟へ
奉らくを 見備はし給ひ 聞こし召し給ひて 過ち犯しけむ禍事を
見直し聞き直して 教へ給ひ 諭し給ひ 霊の真澄の鏡
弥照りに照り輝かしめ給ひて 愈愈高き大命を 寄さし給ひ 身は健やかに
家内睦び栄へしめ給ひ 永遠に天下四方の國民を
安けく在らしめ給へと 恐こみ 恐こみも 白す