吉備津祓
天照る神の教への祓 一度び祓へば 百日の災難を除き 百度び祓へば 千日の咎を捨つる
千代万代 年を経ても 天の神の恵みは尽きじ 生き生き 代代に尊きは
天地の恩仰ぎても 猶ほ餘りあるは 神の徳に越ゆることなし
神通自在心源清浄祓
高天原に神留まり坐す 皇親神漏岐神漏美の命以ちて 魂の日月の光を 和らげ賜ふが如く
身心は天地の元気に 通はしめ賜ふが如く 身は安く 言は美はしく 意は和らぎて
諸諸の悪業煩邪念猛慮をば 日向の 小戸の 檍原の
下瀬の弱く和柔ぎたる潮の如く 罪と云ふ罪咎と云ふ 咎は在らじと 祓ひ賜ひ清め賜ふ
事の由を 左男鹿の八つの耳を振ふり立てて 聞こし食せと白す
六根清浄大祓
天照坐皇大神の宣はく 人は即ち天下の神物なり 須らく静め謐まることを掌るべし
心は即ち神明の本主たり 心神を傷ましむる莫かれ 是の故に
目に諸諸の不浄を見て 心に諸諸の不浄を見ず 耳に諸諸の不浄を聞いて
心に諸諸の不浄を聞かず 鼻に諸諸の不浄を嗅いで 心に諸諸の不浄を嗅がず
口に諸諸の不浄を言ひて 心に諸諸の不浄を言はず 身に諸諸の不浄を触れて
心に諸諸の不浄を触れず 意に諸諸の不浄を思ひて 心に諸諸の不浄を想はず
是の時に清く潔よき偈あり 諸諸の法は影と像の如く 清く浄よければ仮にも穢がるることなし
説を取らば得べからず 皆因よりして業とは 生る我が身は即ち六根清浄なり
六根清浄なるが故に 五臓の神君安寧なり 五臓の神君安寧なるが故に 天地の神と同根なり
天地の神と同根なるが故に 万物の霊と同根なり 万物の霊と同根なるが故に
為す所願として成就せずと云ふことなし 無上霊宝 神道加持
新撰禊祓詞
高天原に 事始め賜ひし 皇大神等は 幽事の根元を 知ろし食す 泉津下方に坐します神等は
荒び来たらむ悪事を 知ろし食す 祓戸に坐す皇神等は 其の悪を祓へ退け賜ふ事を
始め賜ひき 故 世間に生ひ出づ人と云ふ人は 天津御法の随に 国津御法の随に
神習ひに習ひ 神祝ぎに祝ぎ仕へ奉るべきを 祥無き人草に相雑はり 相口会ひて
過ち犯せる罪咎は子産み・
交合・病・月経・死亡・穢に立ち触れ
或は物食ひする随に 不慮る・穢はしき火水にい行き障らひ 家にも身にも
汚らへ過まてらむを 由由しみ畏こみて 赤膚に水掻き清め 斎衣取り装ほひ 斎帯取りらし
稜威の斎床に慄進まり 打ち鳴らせる手も 樛亮に言揚げ仕へ奉れば 遺れる枉は
彼方の野辺に枯れ臥さむ燃草刈り集めて 炫彦の御荒びに 風の共 焼き払ふ事の如く
速川の瀬に居る魚網張り渡し 漁りきためて 海
中に持ち出だし
大魚が咽喉に 加加呑ません事の如く 祓へ申し清め
申す事の由を
皇神等の御諾ひ 相ひ聞こし食して 某が赤き真心を 深く悠く憐れみ賜ひ 愛み賜ひて
朝に異に疎び荒び来む悪事の上より来らば 天の衢に注連引き 延えて
青雲の退き 立つ極みに遂ひやらひ 下より来らば 伊夫耶が堺に 千曳き岩曳き塞えて
片隅の国辺に 遂ひ退け払ひ給ひて 夜の守 日の守に 幸はへ給へと 恐み恐みも白す