古今和歌集　　　卷第九　羈旅歌

0406　唐土(もろこし)にて月(つき)を見(み)て詠(よ)みける　【○百人一首0007。】
0407　隱岐國(おきのくに)に流(なが)されける時(とき)に、舟(ふね)に乘(の)りて出立(いでた)つとて、京(きやう)なる人(ひと)の許(もと)に遣(つか)はしける　【○百人一首0011。】
0408　題知(だいし)らず
0409　題知(だいし)らず
0410　東方(あづまのかた)へ、友(とも)とする人一人二人誘(ひとひとりふたりいざな)ひて行(い)きけり。三河國八橋(みかはのくにやつはし)と云(い)ふ所(ところ)に至(いた)りけるに、其河畔(そのかはのほとり)に、杜若愛面白(かきつばたいとおもしろ)く咲(さ)けりけるを見(み)て、木陰(このかげ)に折居(おりゐ)て、｢かきつばた(杜若)。｣と云(い)ふ五文字(いつもじ)を句(く)の頭(かしら)に据(す)ゑて、旅心(たびのこころ)を詠(よ)まむとて詠(よ)める
0411　武藏國(むさしのくに)と下總國(しもつふさのくに)との中(なか)にある、隅田河畔(すみだかはのほとり)に至(いた)りて、都(みやこ)の愛戀(いとこひ)しう覺(おぼ)えければ、暫(しば)し川畔(かはのほとり)に折居(おりゐ)て、「思遣(おもひや)れば、限無(かぎりな)く遠(とほ)くも來(き)にける哉(かな)。」と思侘(おもひわ)びて眺(なが)め居(を)るに、渡守(わたしもり)、「速舟(はやふね)に乘(の)れ。日暮(ひく)れぬ。」と言(い)ひければ、舟(ふね)に乘(の)りて渡(わた)らむとするに、皆人物侘(みなひとものわ)びしくて、京(きやう)に思(おも)ふ人無(ひとな)くしも有(あ)らず、去(さ)る折(をり)に、白鳥(しろきとり)の嘴(はし)と足(あし)と赤(あか)き、川畔(かはのほとり)に遊(あそ)びけり。京(きやう)には見(み)えぬ鳥也(とりなり)ければ、皆人見知(みなひとみし)らず。渡守(わたしもり)に、「此(こ)れは何鳥(なにとり)ぞ？」と問(と)ひければ、「此(こ)れなむ都鳥(みやこどり)。」と言(い)ひけるを聞(き)きて詠(よ)める
0412　題知(だいし)らず
0413　東方(あづまのかた)より京(きやう)へ詣(まうで)くとて、道(みち)にて詠(よ)める
0414　越國(こしのくに)へ罷(まか)りける時(とき)､白山(しらやま)を見(み)て詠(よ)める
0415　東(あづま)へ罷(まか)りける時(とき)、道(みち)にて詠(よ)める
0416　甲斐國(かひのくに)へ罷(まか)りける時(とき)、道(みち)にて詠(よ)める
0417　但馬國(たじまのくに)の湯(ゆ)へ罷(まか)りける時(とき)に、二見浦(ふたみのうら)と云(い)ふ所(ところ)に留(とま)りて、夕去(ゆふさ)りの乾飯食(かれいひたう)べけるに、共(とも)に在(あり)ける人人(人人)の歌詠(うたよ)みける遂(つい)でに詠()める
0418　惟喬親王(これたかのみこ)の供(とも)に、狩(かり)に罷(まか)りける時(とき)に、天河(あまのかは)と云(い)ふ所(ところ)の川畔(かはのほとり)に降居(おりゐ)て、酒等飲(さけなどの)みける遂(つい)でに、親王(みこ)の言(い)ひけらく、「狩(かり)して天河原(あまのかはら)に至(いた)ると云(い)ふ心(こころ)を詠(よ)みて、盃(さかづき)はさせ。」と言(い)ひければ詠(よ)める
0419　親王(みこ)、此歌(このうた)を返(かへ)す返(がへ)す詠(よ)みつつ返(かへ)し得(え)せず成()にければ、供(とも)もに侍(はべ)りて詠(よ)める
0420　朱雀院(すざくゐん)の奈良(なら)に坐(おは)しましたりける時(とき)に、手向山(たむけやま)にて詠(よ)みける　【○百人一首0024。】
0421　朱雀院(すざくゐん)の奈良(なら)に坐(おは)しましたりける時(とき)に、手向山(たむけやま)にて詠(よ)みける

古今和歌集　卷九　羈旅歌　終